和楽

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和楽

09月06日号

それは夜中に突然やって来る。ふくらはぎの筋肉が激痛を伴って痙攣を起こす「こむら返り」。若いころならまだしも、五十路を越えた筆者に近ごろ襲いかかる。実に厄介な症状だ。水分やミネラル不足など理由はままあれど、まず考えられるのは運動不足による筋力の衰えか。ステイホーム中に増えた体重を落とそうと、やや無理な運動を重ねたためだろう

▼部活動に明け暮れた学生のころ、しばしば「こむら返り」に見舞われた。数十年ぶりの襲来に、激痛の中にも懐かしさを覚え、厳しかった体育会系で過ごした日々を思い出す。あの時代は今と異なり、暑い中でも体が重くなるから水を飲むなと言われたり、足腰を鍛えるためにウサギ跳びをさせられたりと、今日ではタブーとされる強化指導が当然のように行われていた。誰もが信じて疑わなかった当時の常識も、時代によって、これほど変わるのである

▼いまや「パワーハラスメント」といわれ、控えめにはなったものの、かつて体育会系といえば根性論を叩き込まれた。「踏まれても踏まれても立ち上がれ」といった雑草魂的な言葉を、よくかけられたものだ。ところが驚くなかれ、植物学者の稲垣栄洋氏によると、実は雑草は踏まれたら立ち上がらないらしい。立ち上がるためにエネルギーを使うより、踏まれて倒されても確実に花を咲かせ、種子を残すことに全力を尽くすのだ。植物にとって最も大切なことは、次の代へとつなぐ種子を残すこと。つまり、大切なことを見失わぬ生き方、これこそ本当の雑草魂と稲垣氏は言う

▼この半年、世のさまざまな動きが思うようにならず、中止や延期が相次ぐ。あらためて周囲の物事を顧みて、大切なことを見極める旬ではないか。いまは無理をしなくていい。この先の実りをじっくり考え、いまやるべきことを思案しよう。かの雑草魂のごとく。

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