天理時報で新しく始まった4コマ漫画は、実話を元にしています。ここでは、そのオリジナルストーリーをお届けします。
立教184年(2021年)9月5日号掲載分
ごみ拾いを続ける中で
仕事を辞めた4年前から、毎日のように散歩へ出かけるようになった。そのうちに道路に散乱するごみが気にかかり、ごみ拾いを始めた。
当初は、大通りでの作業に恥ずかしさや照れくささが先立ち、「何のために、誰のために」などと自問することもあった。
そんななか、毎日同じ場所にたばこの吸い殻が落ちていることに気づいた。いつしか通るたびに、「またポイ捨てされている」と腹が立つようになっていた。
モヤモヤとした気持ちを抱えていたある日、その場所で若者が車に乗り込んでいるところを見た。どうやらそこは、彼の出勤前の待ち合わせ場所になっているようだった。
するとそれ以降、吸い殻を見るたびに「あの子は今日も元気に会社へ行っているな」と思えるように。ポイ捨て自体は良くないことだが、別の見方ができるようになり、清々しい気持ちでひのきしんに取り組めるようになった。
いまでは、「ごみ拾いに行ってくる」と笑顔で出発する自分がいる。自分自身の心が入れ替わった喜びを忘れずに、これからも続けていきたい。
(足立國雄 74歳 神戸市)