【しば・すけやす】1935年東京都生まれ。55年宮内庁楽部楽師となり、主に横笛奏者として活動。古典雅楽の演奏のほか、現代雅楽、現代邦楽の作曲・演奏、雅楽廃絶曲の復興などを手がける。84年宮内庁退官。横笛演奏を中心に、さまざまな活動を展開する一方、現代雅楽の可能性を追求するとともに、海外で積極的に雅楽を紹介するなど、高い評価を得ている。現在、伶楽舎音楽監督、日本芸術院会員。2011年文化功労者に選ばれる。
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本文では、まず『源氏物語』の各帖を彩る雅楽の中から、紫式部が特に推奨する23のシーンに登場する楽曲を紹介。次に、雅楽の歴史と楽器を解説。そして紫式部と親交のあった(と思われる)楽人、また雅楽継承に功績のあった方々を紹介しています。
最後に、紫式部を現代にまで誘った同部の活動が語られています。
著者が長年思い続けた「今日の雅楽のあり方」を、『源氏物語』を媒体として舞台化し、脚本・演出を手がけたこれまでの経験の蓄積が、「読み本」としてまとめられており、全編を通して、雅楽への情熱がひしひしと感じられます。
「楽しく分かりやすく」をモットーに、紫式部の語り口調の文体、各ページに配されたイラストによって、実に「読んで・見て」楽しい雅楽の紹介本となっています。
雅楽愛好家の方はもちろんのこと、『源氏物語』ファンの方々、雅楽は堅苦しいとお感じの方々も、ぜひ一度目を通していただきたい本だと感じました。
座右の書として、お薦めします。